【腎臓】
障害年金・認定基準


1.認定基準  腎疾患による障害の程度は、次のとおり認定する。
          各等級に相当すると認められるものを一部例示する。
障害の程度 障害の状態
1級 下記(4)に示す検査成績が高度異常を示すもので、かつ、
 一般状態区分表のオに該当するもの。
2級 下記(4)に示す検査成績が中等度異常を示すもので、 かつ、
 一般状態区分表のエ又はウに該当するもの。


・人工透析療法施行中のもの。
3級 下記(4)に示す検査成績が軽度異常を示すもので、かつ、
 一般状態区分表のウ又はイに該当するもの。




なお、障害の程度の判定に当たっては、下記(4)の検査成績によるほか、他覚所見、他の
一般検査及び特殊検査の検査成績、治療及び病状の経過等も参考とし、認定時の具体的
な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。




2.認定要領
(1)腎疾患による障害の認定の対象はそのほとんどが、慢性腎不全に対する認定である。
   慢性腎不全とは、慢性腎疾患によって腎機能障害が持続的に徐々に進行し、生体が
   正常に維持できなくなった状態をいう。
   すべての腎疾患は、長期に経過すれば腎不全に陥る可能性をもっており、最も多い
   のは、慢性腎炎(ネフローゼを含む。)、腎硬化症、嚢胞腎、腎盂腎炎であるが、全
   身性疾患による腎障害、すなわち、糖尿病性腎症、膠原病、痛風腎、アミロイドー
   シス等も少なくないものである。


(2)腎疾患の主要症状としては、悪心、嘔吐、疼痛等の自覚症状、尿の異常、浮腫、
   高血圧等の他覚所見がある。


(3)検査成績としては、尿検査、血液生化学検査(血清尿素窒素、血清クレアチニン、
   血清電解質等)、動脈血ガス分析等がある。


(4)慢性腎不全及びネフローゼ症候群での検査項目及び異常値の一部を示すと次の
   とおりである。
区分 検査項目 単位 軽度異常 中等度異常 高度異常
内因性クレアチニン
クリアランス値
ml/分 20以上30未満 10以上20未満 10未満
血清クレアチニン濃度 mg/dl 3以上5未満 5以上8未満 8以上
1日尿蛋白量 g/日 3.5g以上を持続する
血清アルブミン g/dl かつ、 3.0g以下
血清総蛋白 g/dl 又は、 6.0g以下
(注1) 「ウ」の場合は、①かつ②又は①かつ③の状態を「異常」という。




(5)腎疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。
      一般状態区分表
区分 一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
 例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、
軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、
日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、
活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの




(6)人工透析療法施行中のものについては、原則として次により取り扱う。
    人工透析療法施行中のものは2級と認定する。
     なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査成績、具体的な日常生活状況等に
     よっては、さらに上位等級に認定する。
    障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して
     3月を経過した日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。)とする。


(7)検査成績は、その性質上変動しやすいものであるので、腎疾患の経過中において
   最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて行うものとする。


(8)糸球体腎炎(ネフローゼを含む。)、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎に罹患し、その後慢性
   腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係がある
   ものと認められる。


(9)腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見
    も、また様々なので、診断書上に適切に病状をあらわしていると思われる検査成績
    が記載されているときは、その検査成績も参考とし、認定時の具体的な日常生活状
    況等を把握して、総合的に認定する。


(10)腎臓移植を受けたものに係る障害の認定は、「その他の障害」として認定する。






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