大腿骨骨頭壊死は、血流の低下により大腿骨が壊死する病気で、発病すると股関節に激しい痛みが生じ、ひどいときには立ち上がることもできないほど行動が制限されます。障害年金では、この大腿骨骨頭壊死に対し、人工骨頭を入れたものを3級、人工骨頭の有無に関わらず、立つ、歩く、座るといった行動が著しく制限されるものについては1級〜3級に認定することとしています。
大腿骨に壊死が起こる原因は、さまざまです。一般的にはステロイド投与、アルコールの大量摂取の2つが疑われますが、原因がわからずに大腿骨が壊死してしまうケースも少なくありません。
アルコールの影響や原因不明の場合は、痛みを感じ初めて医師の診断を受けた日が初診日となりますが、ステロイド投与が原因の場合は原因疾患での初診日が障害年金でいう初診日となります。
たとえば膠原病やネフローゼ症候群を患っていてステロイドを大量に投与したとします。この場合、大腿骨骨頭壊死の初診日は原則として、膠原病やネフローゼ症候群で初めて医師の診断を受けた日となりますので注意してください。
また「人工骨頭=3級」というイメージがありますが、人工骨頭の有無に関わらず、障害の状態が悪ければ、その程度に
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応じて1級〜3級に認定されます。
人工骨頭を入れていなくても杖歩行に頼るなどの障害があれば3級に認定されることもありますし、歩行に著しい制限を受ける場合は2級、1級にもなります。以上をふまえ、申請するときは、少しでも自分の悪い状態をアピールする手続きを心がけたいものです。
診断書で注意したいのは、表面の下のほうにある「人工骨頭の装着の状態」です。診断書のなかでは非常に小さなスペースですが、ここに人工骨頭の手術日が入らなければ3級には認定されません(人工骨頭で3級を狙う場合)。
ですから必ず手術日の記入の有無を確認し、書き漏れがあった場合は、医師に追記してもらう必要があります。
2級、1級を狙う方は、診断書裏面に注意しましょう。
「関節可動域と筋力低下」の項目に記入があるか、「日常生活動作の障害の程度」の項目のすべてに○、○△、△×、×の評価が書かれているかを確認してください。
次に病歴状況申立書を作成するさいは、自分の病気の経緯と障害の悪さをどう伝えるかを考えてください。
病歴状況申立書は、診断書とともに審査の参考資料となりますので、内容に不備があると有効とは認めてもらえません。
ですから適当に書いて済ますのではなく、抜けが出ないよう丁寧に仕上げていくことを心がけましょう。
◆大腿骨骨頭壊死と障害年金の関係 |
人工骨頭+経過良好→障害年金3級になる!
人工骨頭+経過不良→障害年金2級の可能性が!
人工骨頭なし+肢体不自由→障害年金3級の可能性が! |
※人工骨頭を装着していない状態でも、肢体の運動機能に一定の制限が
ある場合は、3級に認定されることがあります。 |
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